2010年11月29日月曜日

レンズスクラッチのファミリーオンライン写真展

以前お知らせしておいたAline Smithsonさん主催のLenscratch Family Exhibitionが発表された。

応募もカナダ、イギリス、フランス、ギリシャ、アイルランド、スリランカ、フィリピン、イタリア、メキシコ、コソボ、オーストラリア、コスタリカ、ノルウェーと世界中から出品された。とても残念だったのは日本からの応募はぼく一人だったこと。

ファミリーというテーマだから、自分の家族を写した写真が圧倒的に多かったが、たんに家族というテーマでもほんとうにいろいろな表現の仕方があるものだと感心してしまう。

とにかく面白いので見てください。もし自分が応募するとしたらどんな写真を撮るのかな、と想像しながら見るといいですよ。次回は多数の日本からの応募を期待しています。

Lenscratch Family Exhibition

2010年11月27日土曜日

ルッカデジタルフォトフェスト2009


イタリアの小さな街ルッカで開かれるフォトフェスティバルはとても魅力的なフォトフェスです。

ちょうど今の時期、11月20日から12月12日までがその開催期間ですが、なんといってもイタリアでも一番美しいといわれているトスカーナ地方で開かれるフェスと言うことでフィレンツェやピサといった都市をまわることとセットで行くことも魅力的な動機づけになるだろうと思います。
トスカーナ地方はミケランジェロ、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ダンテ、ガリレオ、ラファエロ、ジョットなどを生んだ土地でもありますね。

2010年の今年は第6回目の開催になります。

アルルやヒューストンと比べると規模こそ小さいのですが、ローマ時代につくられたという城塞都市のなかで写真展の会場をゆっくり歩いてまわれることがなによりも心地いい。街の店はクリスマスのデコレーションが始まり、たんに歩いているだけでもなんだか心がうきうきとしてきます。もちろん、レストランもいろいろとあって簡単なピザからイタリアンディナーまで楽しめます。

オリーブオイル、パルメジャーノ・レッジャーノ、バルサミコなどもすごくリーズナブルな価格で買うことができる店があるので、イタリアの食材に目がない人にも超おすすめな街なのです。この時期は生ポルチーニはもうないけれど、乾燥ポルチーニを買ってくるのもいいです。ポルチーニセッキと言えばすぐに出してくれますよ。ぬるま湯でもどせばすぐにパスタに使えます。泥がついていることも多いのでよく洗ってね、ということです。

ホテルは日本からでもインターネットで予約できるB&Bもあるので城塞の中にあるB&B を予約していくといいでしょう。お値段も50ユーロ台からあるので安心です。ルッカの街の人間は閉鎖的でなく開放的だ、ということをききましたけれど、ぼくの泊まったB&Bのスタッフもすごくフレンドリーでしたね。言ってることがなかなか通じなくて、やっとああそういうこと、ってわかった時などもオー、っと言ってハグしてきたりしてとてもあたたかいです。

この魅力的なフェスはたった3人のスタッフで運営されています。主催者の一人スザンナさんにそもそもの由来をお聞きしたところ、この3人は普段は会議などの運営をしている人たちなんだそうです。ある夜に友だち同士で夕飯を食べているときにルッカでも写真のフェスティバルをやりたいね、という話になりそのときに写真の関係者もいたのでスザンナさん達と力を合わせればできるよ、ということになりなんとその4ヶ月後には第1回目の開催をやってのけた、という話でした。すごい実行力ですね。

ルッカの予算は大体50万ユーロもないそうです。主催者の3人は今のところボランティアでやっているそうですが、学生さんなどがお手伝いをしていて、この人たちにはちゃんとスタッフペイが出るそうです。予算の50%は地方からの援助、30%がスポンサーの援助で、20%が入場料などの収入になっているそうです。

地方行政が援助してくれるのは街のイメージアップにつながる、という事の要素が多いそうです。雑紙、テレビ、新聞などに取り上げられるので街のショーウインドウのような役割をになっているということになるのですね。

実はぼくはイタリアに行くのはこのときが初めてでした。ルッカに行ったあとにフィレンツェにも1日滞在してさっとまわってきましたが、ルッカに滞在したあとだとフィレンツェの街じたいは少々退屈におもいました。それほど、ルッカという街が魅力的だったからでしょう。

ルッカはフィレンツェから電車で1時間あまり。ものすごくお勧めの街とフォトフェスです。

LUCCAdigitalPHOTOfest

B&B Lucca Centro




ルッカの地図。城壁の内部は歩ける距離。
中世につくられた城壁。
リチャード・アベドンの展示場入り口。
アベドンの会場もクラシックな宮殿。
アベドンがファッションと決別したときのニューヨーカーに掲載されたシリーズ作品。細江賢治さんがこのプリントを見た途端に、これはアイリスプリントだと解説してくれました。アイリスプリントは初期のデジタルプリント技術。
ドヴィマと象のオリジナルプリントを見る細江英公氏。
マン・レイ展の会場
マン・レイの暗室。初めて見た貴重な写真。
ジュリエットの肖像
写真展だけでも約20の展示が行われた。イントレのようなセットを用いた魅力的な展示。さすがデザインの国イタリアだ。



ポラロイドでモデルを撮影してその場で作品を仕上げるパフォーマンス。
フォトレクチャーという名称で行われたポートフォリオレビュー。一人25ユーロで何人でも見てもらうことができる。

夕方になると街のあちこちに地元の人が出てきておしゃべりに興じる。
ワールドフォトプレスの会場。街の外から城壁を抜けるトンネルの中での展示。初めて使われた歴史的な場所だそうだ。

サテライト会場。暗室をもした展示でなかなか面白い発想だ。
地元の学生たちが写真を前にディスカッションしていた。
細江英公氏が宿泊されたB&B。地元の名士のお宅だそうで、広大な土地を持っていてワインもつくっていたりとお金持ちの邸宅が宿泊施設にそのままなっている。
ベッドもゴージャス。
ルッカの女学生たち。
城壁からの眺め。
広場にはメリーゴーランドがあってこどもたちが楽しんでいた。
城壁の上は公園になっていて市民の憩いの場所になっている。散歩する人も多い。
フェスティバルの期間、次第に街はクリスマス色が強くなっていく。
2009年はイタリアでは日本ブームだったそうで、アニメ、マンガ、お寿司、空手、剣道、春画などが話題になったそうだ。日本のアートも注目を浴びて草間彌生さんのことが新聞に取り上げられたりしたそうだ。ルッカのショーウインドウにもキティちゃんとかこけしをかたどったキャラクターを見かけた。



カワイイお店もいっぱいあります。古い街にとけこんだ新旧のショップはみているだけで楽しくなること請け合い。女性なら歩いているだけでもう楽しくてしょうがなくなるでしょう。

2010年11月23日火曜日

細江英公 in LUCCAdigitalPHOTOfest 2009

ちょうど1年前のこと、イタリアの小さな街ルッカで行われたLUCCAdigitalPHOTOfestに招待された細江英公氏に同行する機会をいただいて、まだ知名度はないがとても意欲的ですばらしいフォトフェスティバルに接することができた。
なんだかこのブログも1年遅れで掲載する、というとんでもないブログになってきてしまったが、まあ我慢してください。

まず昨年のアサヒカメラ誌の情報欄に掲載したコラムを再度掲載しておきます。僕が文章量を間違えたので、最初に書いた長い方のコラムを掲載します。

「その夜。

エントランスの両側に並べられた蝋燭の光に導かれて、ヴィラ・ボッティーニの中に招きいれられると、そこでは時間と空間が交錯する不思議な宴がくりひろげられていた。

名だたる細江英公の名作『おとこと女』『薔薇刑』『鎌鼬』『胡蝶の夢』『ガウディの宇宙』『きもの』『春本・浮世絵うつし』は染め摺り師・木田俊一の手で和紙へとうつしかえられ、アートディレクター・馬淵晃の意匠をまとった細江英公寫眞絵巻として、赤、青、緑、黒に彩られた壁に10メートルもの長さのままに展示されている。
ヴィラ・ボッティーニの壁と天井には16世紀当時のままのフレスコ画が縦横無尽に色鮮やかに描かれている。
土方巽や大野一雄、三島由紀夫の硬質な肉体は、ルネッサンス期のふくよかな裸体と溶けあい、絵巻の意匠に使われた古着物の柄が黄金色の天井の装飾とからみあっている。
集まったイタリアの名士たちはふるまわれたシャンパンに酔うまでもなく、この贅沢なエロスとタナトスの饗宴の香気にむせかえる。
現代のデジタルテクノロジーがマエストロ達の魂と結びつく時、リニアな時間と空間は揺らぎだし、なまなましく、なまめかしくもイメージ本来の力が主張を再び始める。

5回目を迎えたルッカデジタルフォトフェストのメインゲストに招かれた細江英公はこの16世紀のヴィラでの展示の話を受けたときに、現代のデジタルプリント技術と16世紀の建物のコラボレーションに胸をおどらせたという。

ルッカデジタルフォトフェストはたった3人の手によって運営されている規模は小さいが野心的なフォトフェスティバルだ。わざわざデジタルという冠をつけたのも他のフォトフェスティバルとは一線を画す新しいファインアートの場所を写真家に提供したいという思いからなのだそうだ。
21世紀にはいり、写真もコンテンポラリーアートの一角に確実に座を占めてきて写真家達の生み出す作品も大きく変わってきているのが世界的な傾向だが、イタリアではどちらかというと写真と言えばフォトルポルタージュが主流なのだそうだ。このフェスティバルでも最初の4年は観客にわかりやすいエリオット・アーウィットなどの作品を取り上げてきていたのだが、細江英公がメインゲストの今年から本来の趣旨に添うフォトフェスティバルとしての飛躍を期している。

トスカーナ地方はイタリアの中でももっとも美しい地方として全世界の人々からも愛されている場所だ。ルッカはフィレンツェとピサの間にあり、城塞都市の面影を今も色濃く残す美しい街である。
今年は周囲を城壁で取り囲まれた旧市街の7つの場所に展示スペースがもうけられた。リチャード・アベドンのアイリスプリントによるカラー作品『故コンフォート夫妻の思い出』、マン・レイの『15のジュリエットの顔』、アーネスト・バザン、クロード・ノーリ、アレックス・マジョリ、ジャコモ・コスタなどの作品が展示された。ワールド・プレス・フォト09の展示場所は城壁の中と外をつなぐ洞窟の中にあり、散漫になりがちなグループの展示を強い印象のものに変えることに成功していた。この洞窟も、ヴィラ・ボッティーニも普段は公開されていない場所なのだそうである。
他にもヴィデオを使ったインスタレーションの展示、ポートフォリオレビュー、フォトカフェとなづけられた写真談義のセッション、ポラロイドで撮影しながらその場で作品を仕上げていくところを見せるパフォーマンスなど意欲的な取り組みが各所に見られた。

街を囲む城壁は今では緑におおわれた散歩道として街の人々に利用されている。城壁に立ってみると周囲の緑が美しく目に映える。旧市街は石畳に覆われていて、会場となる展示場所から次の展示場所まで歩いてもそう遠くではない。むしろ、旧市街の古い街並みの中のおしゃれなブティックやカフェをのぞいたり、ローマ時代から中世までの建物をしげしげとみつめているうちに時のたつのを忘れてしまうだろう。小さな川も流れていて目をこらせば鱒がいっぱい泳いでいる。
アルルのフォトフェスティバルが、古代ローマ遺跡のアンチックシアターをスライドショー会場にしつらえたりして古い街並みの中での展示をドラマチックに演出しているのと考え方は同じであるが、アルルはひとつの会場から他の会場までが案外遠い。その点このルッカの街のコンパクトなところがとてもうまく生かされている。

参加した写真家達へのアワードの授賞式はオペラ劇場で催され、各作家の作品がスライドショーで上映された。細江英公はイタリアの写真評論家ジュリアーナ・チメーとともに登壇し、スクリーンに映し出された巨大な自作の前でパントマイムのようなパフォーマンスを面白おかしく繰り広げて観客に大受けしていた。アルルでもデュアン・マイケルズがスライドショーに登場したときにムーンウォークまがいのパフォーマンスで観客を沸かせていたが、70歳を超える写真界の巨匠達の意気軒昂さとお茶目ぶりは若い世代にもいい刺激となるだろう。」

LUCCAdigitalPHOTOfest website





和紙でつくられた絵巻を展示する作業は予想以上に大変だったそうだ。


数々の舞踏家とコラボレーションしてきた細江英公氏は作品の質問を受けるとすぐさまダンスとともに解説が始まる。
規模は小さいがすばらしいオペラ劇場での授賞式。
自作のプロジェクションが始まるとスクリーンの間に入ってシルエット姿でダンスをする細江氏。
細江氏の家族はイタリアにもねづいていて甥御さんのご子息は日伊のハーフ。
フォトフェスト総合案内所まえの巨大な垂れ幕の前で。

2010年11月8日月曜日

Lenscratch オンライングループ展エントリーコール

いつもすごい勢いで更新されていくアリーン・スミスソンさんのブログLenscratchですが、今度は新しい試みとしてオンライングルーブ展が開催されることになりました。

どんなことになるのかおもしろそうじゃないですか。日本からもどんどん応募してみませんか。

以下お知らせ内容。

1回のテーマに対して写真家は1回のエントリーをすることができます。そしてエントリーされたすべての写真が掲載されます。

応募のカテゴリーと締め切り日は以下のとおり。

11月14日締め切り分

「FAMILY」というテーマです。あなたが考える家族ということに対するアイディアをひとつ応募してください。感謝祭の時期に掲載。下にあるのはアリーンのイメージアイディアです。

12月27日締め切り分

「your FAVORITE」2010年に撮影したあなたのお気に入りの写真を1カット。新年に掲載。

3月17日締め切り分

「LUCK」というテーマで応募してください。セントパトリックディに掲載。

4月25日締め切り分

「SELF PORTRAIT」お気に入りのセルフポートレートを応募してください。5月1日掲載。

応募規定
イメージサイズ:72dpi で長辺1000 ピクセル
名前・タイトル・場所・あなたのウェブサイトなどへのリンク
メールで応募してください。そこにグループ展のテーマ名を銘記してください。( FAMILYなど)
メールの送り先:alinesmithson@yahoo.com
イメージサイズや応募の仕方が完全でない場合は掲載できません。

Lenscratch Exhibition Oppotunities