2012年1月27日金曜日

ヒューストンフォトフェスト

今年2012年はFoto Fest ビエンナーレの開催年だ。前回は2010年でテーマはContemporary U.S. Photographyだった。今年はContemporary Russian Photographyなのだそうだ。

ミーティングプレースの紹介はしてあったが、フォトフェスト自体の様子はまだ報告していなかったので簡単に紹介しておこう。
Foto Festは写真家のフレッド・ボールドウィンとウェンディ・ワトリスによって1983年に創立され、1986年から本格的に開催されるようになった。今年で14回目。アメリカで最大でもっとも歴史が長いフォトフェスティバルである。

フェスティバルの内容はヒューストン市内各所で行われる写真展、ミーティングプレースと呼ばれるポートフォリオレビュー、セミナー、ワークショップ、コレクターのためのプリントオークション、ブックサイニング等々で今年は3月16日から4月29日までの長期間に渡って開催される。
写真展は美術館、コマーシャルギャラリー、NPOのスペース、アーティストによって運営されているスペース、企業のロビー、学校、レストランなど広範囲な場所で展開され市内100カ所以上で開催される。

ディレクターであるウェンディ・ワトリスさんは精力的に世界の写真関係者と交流していて、2010年からはパリフォトの期間中にミーティングプレースのヨーロッパ版を開催している。

フレッド・ボールドウィンさんに聞いた話だが、まず最初に4人の写真家を呼んでロデオを撮影してもらって展覧会を開いたのが発端になったそうだ。4人の写真家とはウィリアム・クライン、ヘルムート・ニュートン、奈良原一高ともう1名(知らない写真家だったので名前を忘れてしまった)。これが評判になったので思いきって600人の人を招待してパーティをしたという。
なぜヒューストンなのか。これはテキサスという土地柄に根ざしている。石油成金が多いこの街では1億円くらいの投資で穴を掘って一発大当たり、ということがあるので何か面白いことをしようと大金を出してくれる個人がけっこういるそうなのである。
2010年の予算は約1億6千万円。その中の30%が個人基金であることに土地柄があらわれていると思う。40%が売り上げ。その他にスポンサーとしてJPモルガンやHexaGroup、アート関連の基金、ダブルツリーホテルグループやコンチネンタル航空など多数がバックアップしている。
フルタイムスタッフは7、8名でフェスティバル期間中は35名くらいのボランティアスタッフが働いている。ボランティアは世界中から自費で集まってくるそうだ。

高層ビルの1階のロビーの広いスペースが写真展会場になっていて、そこでオープニングパーティも開かれる、というところがアルルと違い、大都市で行われるフォトフェスティバルらしいところだ。

市内は広くクルマでの移動が基本となっているため歩いていろいろな展示会場を見て回ることは不可能に近い。見たい写真展をマークしておいてタクシーでいくしかないだろう。ミーティングプレースに参加する人はレビュー終了後にバスツアーがあるので便利だ。

ともかくスナップをたくさんアップしておくので参考にしていただければ、と思う。クリックすると拡大してみることができる。

僕はサンフランシスコ経由でヒューストンに行ったが直行便はたぶんないと思うのでアメリカで国内便に乗り継ぐときの注意事項をひとつ。
セキュリティのチェックと入国審査が厳しくなったために乗り継ぎ時間はたっぷりあったほうがいい。乗り継ぎの空港で入国審査があり、預けた荷物も一度出てきてしまうのでピックアップして再度あずけなおす必要がある。セキュリティチェックも日本よりも厳しく靴を脱いだり手間がかかるので時間がかかる。昨年、シアトル乗り継ぎでデンバーに行った際も乗り継ぎ時間は2時間とたっぷりあったはずなのに、なんと入国審査で1時間半も待たされた。焦って乗り継ぎ便の搭乗口までいこうとしたが、空港内の電車で迷ってしまってもたもたし、国内便の搭乗カウンターにたどり着いたのは発着5分前。娘をだっこしてダッシュしたがあやうく乗り遅れるところだった。入国審査でもセキュリティチェックでも乗り継ぎで時間がないから急いでくれ、といってもなかなかとりあってくれない。あんのじょう預けた荷物も1日遅れで到着となった。
ユナイテッドやアメリカの主要エアキャリアでいくと国際便と国内便が空港の端から端まで行かなきゃならない、ということも多いらしくしかもアメリカの空港はえらく広いのでとにかく時間がかかるのだ。

今年はヒューストンに行くという日本の写真家の方がいるようなのでぜひ注意してくださいね。

ヒューストンはアメリカの大都市なので高層建築が立ち並ぶが、クルマ社会なので人通りが少ない

街の各所にはFoto Festの旗が飾られている
ミーティングプレースはダブルトゥリーホテルで開かれるのでそこに投宿するのが便利。フォトフェストのサイトから予約すると割引がある。僕は7泊して1393.76ドルだった
受付ではカタログやTシャツを販売している
受け付けの中のワーキングスペース
キャノンも協賛していたのだろうか
マップ

レビュアーとレビュー参加写真家のためのバス

火事で焼けた映画館からでたフィルムをプリントしたという写真展会場
American Photographs Before 1950というウィリアム・ハント氏のコレクションの展示
ギャラリーに付属する図書室も充実している
Jason Lazarusという写真家の作品
マリー・ヴァージニア・スワンソンとLACMAのキュレーター・エドワード・ロビンソン
Todd Hidoの作品
関係者のレセプションパーティで挨拶をするウェンディとフレッド
ヒューストン市長
Foto Magazinのマンフレッド・ゾルナー

Richard Mosseの作品
バンド演奏などもあってこの辺がいかにもアメリカっぽい
ボランティアスタッフ
Greta Prattの作品
Greg Stimacのインスタレーション
この看板が関連展示場の目印
写真展会場でこのあとVIPのためのディナーパーティがある
ホセイン・ファルマーニ
レビュアーのヨーロピアン・フォトグラフィーの編集長アンドレアス・ミューラー・ポールとマンフレッド・ゾルナー
企業のビルのロビーでおこなわれるオープニングは広すぎてちょっとまのびしている感じにも思える
Laurie LambrechtのInside Roy Lichtenstein's Studio
Laurie Lambrechtのトーク
Nicole Belleの作品
   Fraction Magazineのデヴィッド・ブラム
フレッド・ボールドウィンさんとウェンディ・ワトリスさん
Literacy through Photographyプログラムを担当するKristin N.Skarbovigさん
Judy Haberlの作品
企業の広い空間にも写真は自然になじんでいる
さまざまなジュースの色だけを撮影した作品
コマーシャルギャラリーでの展示
コマーシャルギャラリーでの展示
コマーシャルギャラリーでの展示
コラボレーションの仕方によって立て看の色が違うようだ
Keith Carterの作品
Shelley Caltonの作品、この下2点とも
Discoveryという新人の写真展でとりあげられた志鎌猛夫妻はコレクターの家に招待されて宿泊していた
コレクターの私邸で開かれたVIPパーティ 下9点とも
こうしたパーティでも盛んに情報交換がおこなわれている