2014年5月1日木曜日

デール・カプランさんに聞く

2010年にニューヨークなどのフォトマーケットを取材しましたが、レクチャーや雑誌などに掲載したためブログにアップしていなかった記事を順次あげていこうと思います。

彼女に現代の写真をとりまく状況についてお話をうかがった。


*ニューヨークには写真専門のギャラリーはどのくらいあるのですか。


写真専門のギャラリーは50 ~60軒くらいです。コンテンポラリーアートを扱うギャラリーまで含めれば100軒以上ありますね。
エリアでいえば、老舗ギャラリーが集まる57丁目、大型ギャラリーが集まるチェルシー、新しいギャラリーがあるブルックリンのダンボ地区がありますが新しいギャラリーはホイットニー美術館が移転予定のミートパッキングディストリクトやロウアーイーストサイド、イーストビレッジなどのエリアにも進出しています。


*写真のコレクターにはどんな方がいらっしゃるのですか。


大きく分けるとソフィスティケーテッドコレクターと呼ばれる伝統的なコレクターとヤングコレクターといわれるIT産業などに代表される若くして成功したコレクターがいます。
ロウアーイーストサイドなどにギャラリーが進出しているのはヤングコレクターが台頭してきたせいでしょう。
また今ではインターネットが発達してきたせいでスワンでも世界中からコレクターが訪ねてくるようになっています。


*コレクターは写真やアートのどんなところに魅力をかんじているのでしょうか。


普通たいがいの人はそれほどクリエイティブな生活をおくっているわけではありません。自分でなにかを創造することはなかなかできないのです。決して大きな作品がいいわけでもなく、小さな心に響くような作品でも作家がどんなことを訴えかけたいかが明確であれば、作家の志に共感して作品を購入するようになるでしょう。そしてValue of Life、生きていることの意味や価値観をそこに見いだすのです。


*20世紀はアーヴィング・ペンやリチャード・アベドンといった写真の巨匠を生み出してきました。21世紀の写真界のスターはどんなところから生まれると思いますか。


アベドンやペンはメディアを利用できたのです。20世紀は雑誌などのメディアの力がすごく強かったから。彼らはメディアの力を利用することでとても有名になりました。でもこれからは違うわね。インターネットが発達してきてメディアの影響力は弱くなってしまっています。
今後はギャラリーシステムを通じて写真界の次のスターを検証することになっていくでしょう。ファッション写真家も広告写真家もみんなこのギャラリーシステムにはいりたがっています。

(2010年10月取材/ デール・カプランさんへのインタビューは当時スワンオークションギャラリーで研修をされていた須々田美和さんのご手配によって実現しました。須々田さんが同席してくださり通訳をしてくださったことに感謝いたします。)


 デール・カプランさんはコレクターのためのレクチャーなども行っている。
 スワン・オークション・ギャラリーのDM
 写真のオークションは10月のメイン・オークションの他にも年に数回行われるようだ。



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